
前回のイフリット投入ミッションは、EUSTとGRFの技術力を測るものだった。
その結果、両陣営にはエイオースへの到達は向こう十数年は不可能である、
とエイジェン上層部は判断を下した。
ところが、どうやらEUSTは到達を成し遂げ、侵入 を果たしたという。
N.R.S.——Newd Reduction Systemと呼ばれるニュード軽減装置は理論上可能とされていたが、
稼動させるためには、何らかの「鍵」となるものが必要である。
それは開発元の四条重工をはじめ、どのメーカーも持ち合わせていない技術だった。
それなのに、なぜ?
エイジェン幹部の博士たちは明らかに狼狽していた。
幹部会が紛糾することなど、今まで有りえなかった。
そんな中、博士のひとりである「ソーマ」から、ネソス島奪還の命令が唐突に下されることとなる。
アドリシュタを従えて、地中海を往き、因縁の地へと急ぐジーナ。
「どうしてここなのかい?」
「この地には、借りがあるのですよ」
「へぇ、エース様も感傷に浸ることがあるんだ」
「エーカム」
おとなしいモードのジーナにしては珍しく、あからさまな不快感をみせた。
「もうデータを取る必要はありません。あなたの機体はもはや試験機ではないのです」
だから、戦果をあげてくるように。強い口調でそう言った。
「ふふっ、わかってるよ」
テスト機の側面があったヤマであるが、もはやその役目は終えていた。
思いっきり暴れていいことを許されたアドリシュタは、全力で花を刈れることに高揚していた。
それはさておき、今回の上官の様子はどこかおかしい。
「まったく。エース様は、ボクの姿に一体誰を見ているのかな?」


